旋律的 林巧公式ブログ

旅とおばけと音楽と、小説とごちそうと物語について。

かかわりのある本のこと

絶望に効く薬

もう随分前のこと、山田玲司という漫画家がやって来た。そして、彼と対談をした。魅力あるキャラクターを描き、物語を紡ぎだすことが、いうまでもなく漫画家の本来の仕事だ。だが、彼はどうしたわけか、そのころ自分が会いたい人に会い、話を交わして、その…

小松左京が鳴らす“鐘”の響き

この夏、発刊したばかりの「アレ!( allez ! )」というデジタル文芸誌が、七月二十六日に逝去した小松左京の追悼特集を組み、短編小説「熱帯雨林が熟すとき」を寄稿した。この数百年もの間、紙を糸で綴じた頁を、ただひとつの住処としてきた文芸作品と、デ…

ろうそくの炎がささやく言葉

大地震が起きる十八日前の夜――パラダイムが転換してしまい、もう何年も前のことのように感じられるが――二月二十一日のこと、読売文学賞の贈賞式と祝賀パーティが帝国ホテルであった。そのさらに一年前(二〇一〇年)の、小雪が舞う春の夕べ、トークイベント…

超弦領域 年刊日本SF傑作選

文芸批評としてのアンソロジー超弦領域 年刊日本SF傑作選 (創元SF文庫)作者: 日下三蔵,大森望出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2009/06/25メディア: 文庫購入: 18人 クリック: 178回この商品を含むブログ (67件) を見る 大森望、日下三蔵のふたりが腕利き…

ロシア語の巧くん

「ピアノ・レッスン」という小説のなかに、アンドレイ・レヴィツキーというウクライナ人のピアニストが出てきて、彼がピアニストとして楽譜にサインをする、物語上、重要なシーンがある(サインは筆記体で、小説のページに、そのままあらわれる)。そのアン…

ひとりの編集者の死

年が明け、仕事がはじまって間もない九日、新潮社の青木大輔氏からメールが入った。新年の挨拶の後につづけられた、短い文章に、ぼくはあっと驚いた。 “……私の同期であり、友人だった、鳥飼拓志君が、五日に亡くなりました。私は仕事初めの七日に聞きました…

誠品好讀インタビュー

Q1/妖怪にまつわる場所を訪ねはじめたきっかけを教えてください。 きっかけは台湾です。だから、こうした問いかけが台湾から届くのも、縁がある感じがします。八十年代に台湾へでかけて、台湾の文化事情や、若者を取り巻く事情を、日本の若い読者に伝える…