旋律的 林巧公式ブログ

旅とおばけと音楽と、小説とごちそうと物語について。

妖怪たちのいるところ

おやすみの挨拶を交わすチリ

「よくここまで、やってきたわね」 チリはきれいな声でぼくにささやきかけてきた。でも、音はきこえない。心に直接訴えかけるような不思議なしゃべりかただ。ぼくは、はあはあと息をしながら、小屋の床にすわりこんだ。 「あなたはいったい何者なんですか?…

ブナガヤ(きじむなあ)をみつけた古書店……高円寺、球陽書房

球陽書房は、高円寺にある、ちいさな古書店である。 ぼくは学生時代の四年間、西荻窪の学生寮に暮らした。そして、中央線沿線、ことに中野から吉祥寺辺りの間を、自分たちの庭のようにして、うろついていた。あてもなく歩いているうちに、ひと駅、ふた駅、越…

誠品好讀インタビュー

Q1/妖怪にまつわる場所を訪ねはじめたきっかけを教えてください。 きっかけは台湾です。だから、こうした問いかけが台湾から届くのも、縁がある感じがします。八十年代に台湾へでかけて、台湾の文化事情や、若者を取り巻く事情を、日本の若い読者に伝える…

一つ目小僧がやってきた

一つ目小僧がやってきた。 あたりをみまわし、やってきた。 音もたてずに、やってきた。 一つ目小僧が穴からのぞく。 竹輪の穴から、むこうをのぞく。 竹輪のむこうの、魚をのぞく。 三つ目小僧がやってきた。 ねむい目、こすってやってきた。 あくびしなが…

好きな妖怪は?

妖怪はひとつ残らず、みんな好きです。“この世に悪い妖怪はいません……”というのは、鳥取県境港市に“水木しげるロード”が計画されているとき、妖怪をいいものと悪ものの二派に分けて欲しい(そして、その二派による妖怪たちの戦いを“水木しげるロード”で演出…

斃(たお)れぬ命/老林亜洲妖怪譚

斃れぬ物語斃れぬ命―老林(ラオリン)亜洲(あじあ)妖怪譚(ヤオグワイタン) (文芸シリーズ)作者: 林巧出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2001/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (1件) を見る 子は、怪力乱神を語らず、と論語にあ…

亜州魔鬼行/アジアン・ゴースト・ロード

一度、本棚に戻し、あとから憶いだして、読んでほしいあとがき亜州魔鬼行(アジアン・ゴースト・ロード) (角川ホラー文庫)作者: 林巧出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2000/12メディア: 文庫 クリック: 17回この商品を含むブログ (1件) を見る 小説に果たし…

アジアもののけ島めぐり/文庫版

すべてもののけの仕業である。 この本は、『アジアおばけ諸島』というタイトルで、同文書院より一九九五年に刊行された。原版のエピローグにあるように、このとき、水木しげる氏に解説として文章を寄せていただいた。 さして売れたわけではない。にもかかわ…

アジアもののけ島めぐり/妖怪と暮らす人々を訪ねて

「アジアおばけ諸島」の判型をかえ、改題。「アジアもののけ島めぐり/文庫版」を参照してください。 (同文書院/1997年)

アジアおばけ旅行

旅を終えるときは、いつもすこしだけ、さびしい思いをするけれど、それだけ世界はひろがっている。世界がひろがっているのだから、自分の部屋に帰ってきても、旅だつ前の住み心地とはちょっとちがっているものだ。自分の机と本だなが、どんな世界の中におか…

アジアおばけ諸島

百二十年後の“おばけ諸島” いつか“目にはみえないもの”の“世界地図”を描いてみたいと思う。そうすると、おそらく島と大陸のひろがりが逆転する。ちいさな島は大陸よりもひろい空と海を抱え、そのひろがりと奥行きのなかに“目にはみえないもの”たちが過ごす場…

アジアおばけ街道

おばけのいる人生といない人生というものを考えてみて、どちらがより豊かなのだろうかと想像する。おばけがいなくてもご飯は食べられるし、夜は眠れるし、恋もできる。そういうものかもしれない。 おばけを暮らしのなかから切って捨てることは簡単だし、みて…