旋律的 林巧公式ブログ

旅とおばけと音楽と、小説とごちそうと物語について。

小説を書くときに最も難しいことは?

 それは“書き終えること”です。長い小説でも、短い小説でも、書き終えるためには、一定の技術が必要となります。ぼくは小学五年のときに、長い小説を書きはじめ、それは六年になっても書き終えることができず、結局、四百字詰め原稿用紙百枚を突破しても、遂に書き終えることができませんでした。その小説は未完のままに終わりました。つまり、そのころのぼくは小説を書き終えるための技術を手にしていなかったのです。小説を“書きはじめること”と“書きつづけること”には、たいした技術は要りません。きっと誰でもできます。試しにやってみればわかります。たぶん、“書きつづけること”が最も簡単で、“書きはじめること”は、その次にたやすいでしょう。しかし、“書き終えること”は、この二点とは比較にならない、技術的な困難がつきまといます。この点、はじめから“書き終えること”についての“正解”を手にしているミステリは、ちょっとずるい、と思います。それがぼくにとって、小説を書くときの、嘘偽りのない、根源的な難しさです。もちろん、小説家の数だけ、答えはあるでしょうが。