旋律的 林巧公式ブログ

旅とおばけと音楽と、小説とごちそうと物語について。

一つ目小僧がやってきた

 
 一つ目小僧がやってきた。
 あたりをみまわし、やってきた。
 音もたてずに、やってきた。


 一つ目小僧が穴からのぞく。
 竹輪の穴から、むこうをのぞく。
 竹輪のむこうの、魚をのぞく。 


 三つ目小僧がやってきた。
 ねむい目、こすってやってきた。
 あくびしながら、やってきた。


 三つ目小僧が穴からのぞく。
 下駄の穴から、むこうをのぞく。
 下駄のむこうの、おひさまのぞく。

 
 四つ目小僧がやってきた。
 はんぶん、ねむって、やってきた。
 いびきをかきかき、やってきた。


 四つ目小僧が穴からのぞく。
 ボタンの穴から、むこうをのぞく。
 ボタンのむこうの、貝がらのぞく。


 五つ目小僧がやってきた。
 なみだ流して、やってきた。
 ぐずぐず、泣いて、やってきた。

 
 五つ目小僧が穴からのぞく。
 レンコンの穴から、むこうをのぞく。
 レンコンのむこうの、キューリをのぞく。


 百目小僧がやってきた。
 まばたきしながら、やってきた。
 ぶつぶつ、しゃべって、やってきた。


 百目小僧が穴からのぞく。
 障子の穴から、むこうをのぞく。
 障子のむこうの、満月のぞく。


 二つ目小僧がやってきた。
 迷子になって、やってきた。
 母さん、さがして、やってきた。


 二つ目小僧が穴からのぞく。
 目玉の穴から、むこうをのぞく。
 目玉のむこうの、母さんのぞく。