旋律的 林巧公式ブログ

旅とおばけと音楽と、小説とごちそうと物語について。

キナバタンガン川、ボルネオ・サバ州

h_major2009-06-25


 ボルネオのキナバタンガン川流域を旅してきた。息子とともに、川沿いのジャングルで、ハンモックを吊っての野営。この春のことで、帰って来てから、アルフレッド・ラッセル・ウォーレスの「マレー諸島」を読み返していて、いろいろな発見がある。ウォーレスの旅は1854年から1862年、足かけ八年間におよび、ボルネオだけでなく、ジャワ、スマトラ、バリ、ロンボック、チモール、モルッカ諸島、セレベス、ニューギニア……と、今からは想像もできない、大いなる探検の旅であった。それはもちろん、大英帝国の圧倒的な富の力にものをいわせた探索行であり、ウォーレスはこの旅で、ほ乳類だけでも310点、甲虫類にいたっては83200点もの標本を、ロンドンに持ち帰っている。どんな時代の、誰にとっても、これほど豪勢な博物採集は、そうそうできることではない。だが、一方で、ジャングルの奥地へ入れば入るほど、また川を遡れば遡るほどに、持ってゆける旅の装備も、連れてゆける人間の数も、限られてくる。ウォーレスは村々で、みずから細かな交渉ごとをして、よき道連れとなるマレー人を探し、旅をつづけている。最後はちいさな舟に揺られ、ひとり、ふたりのマレー人だけを道案内にして、ジャングルに野営している。つまり、我々の今回の旅とさしてかわらない。結局、そうしなければ、ほんものの森には辿り着けないのだ。そのことが――つまり、ウォーレスが我々とおなじように、ごく限られた装備でボルネオのジャングルに野営し、旅をつづけていたことが――発見でき、嬉しくなった。



 旅をともにして、美しい写真に記録してくれたのは、ボルネオとヤマネコを愛している横塚眞己人さん。

 http://www.yamaneko.biz/index.html

 マカオが大好きな文章の書き手でもあるのだが、今回は編集者として同行してくれたのは、芹澤和美さん。

 http://www.serizawa.cn/

 旅をバックアップしてくれたのは、ボルネオ専門のジスコ・ボルネオ旅行社。

 http://borneotravel.co.jp/

 旅の記録は、プレジデント社の月刊誌「プレジデント ファミリー」2009年8月号に掲載されています。

 http://www.president.co.jp/family/backnumber/2009/20090800/