旋律的 林巧公式ブログ

旅とおばけと音楽と、小説とごちそうと物語について。

アマトリチャーナ

 パスクアで多くのレストランが休みなので、思いついて、アパートのキッチンでパスタを料理してみる。アマトリチャーナ(amatriciana)をつくってみよう。材料は、瓶詰めのトマト・ソース、にんにく、パンチェッタ(pancetta / 豚ばら肉の塩づけ)、オリーブ油、塩、胡椒、バジル、パルメジャーノ(それから、タマネギのみじん切りを大さじ二、三杯使うのだが、今日はなし)、そしてモレッティ(Moretti / イタリアのビール)……。モレッティを何に使うのかって? もちろん、麺を茹でるとき。ビールをひとくち飲むと、パスタが旨くなる。ほんとうだ。家のキッチンで、コールスローをつくるとき、最後の仕上げで、ボウルに蓋をしたパン皿のうえに載せる重しが、他の物ではなく赤ワインのフルボトル二本、というレシピとおなじ。麺は、冷蔵庫のタッリョリーニ。
 このソース、首都ローマが州都であるラツィオ州の、アマトリーチェ(Amatrice)という農村でつくられていたから、アマトリチャーナ ( アマトリーチェ風)と呼ばれるのだが、ふつうのレストランではポモドーロ(pomodoro / トマト)で、パンチェッタが使われる。ところが、オリジナル・レシピでは、パンチェッタではなく、グアンチャーレ(guanciale / 豚ほお肉の塩づけ ) が使われ、しかもポモドーロではない。おろしチーズも、パルメジャーノではなく、ペコリーノ・ロマーノ( pecorino romano /羊のチーズのローマ風)だ。つまり、トマト味ではなく、旨味をもった塩味ソースということになる。そうすると、駅近くの “I due G” で食べたばかりの、ピッチ・グアンチャーレ・エ・ペコリーノ(Pici Guanciale e pecorino / 豚のほお肉の塩づけとペコリーノ・チーズのピッチ)が、太麺のピッチはトスカーナ産だけれども、ソースは案外、オリジナルのアマトリチャーナに近いのかもしれない。
 さて、今は、つくりなれた、あの赤いアマトリチャーナだ。アパートのキッチンには、パスタをつくることについては、快適な道具が、深鍋も、浅鍋も、チーズおろし器も揃っている。まずはオリーブ油でにんにくを炒め、パンチェッタを入れ、さらに炒めて、塩、胡椒をし、油に味を引き出してから、ポモドーロを加える。生麺のタッリョリーニを深鍋で茹ではじめ、モレッティを飲みながら、頃合いをみて、ひとくちつまむ。ちょうどよい加減で深鍋からタッリョリーニをあけ、浅鍋のソースにからめる。皿に盛りつけ、せっかくだからフレッシュ・バジルを散らし、パルメジャーノをおろしかけると出来上がり。