旋律的 林巧公式ブログ

旅とおばけと音楽と、小説とごちそうと物語について。

音楽

ひとりの編集者の死

年が明け、仕事がはじまって間もない九日、新潮社の青木大輔氏からメールが入った。新年の挨拶の後につづけられた、短い文章に、ぼくはあっと驚いた。“……私の同期であり、友人だった、鳥飼拓志君が、五日に亡くなりました。私は仕事初めの七日に聞きました。…

上海 旋律の惑い

上海にいたわけではない。ほとんど赤道に近い、焼けつくように暑く、ちいさな街で、ぼくは一か月ほどを過ごしていた。そこは中国大陸からは、もう忘れられたような、旧(ふる)いチャイナタウンだった。その街の知り合いから、三日後に雅集(ヤージー)があ…